発酵ってそもそも何?

発酵食品は体験的に身体によいことが知られ、古くから世界各地で伝承されてきました。
日本ではみそ、しょうゆ、納豆、漬物など、海外ではチーズやヨーグルト、キムチなどです。

それぞれ、気候風土や原料事情、好みに合わせて、さまざまな特色を持ち、人々の食生活文化を支えてきましたが、近年では医学的研究によって、健康に良い、痩せる!
なんてことが立証されていますよね。

そして現在では食品だけではなく、医薬品の開発やバイオ燃料などのように数多くの形で、まさに「文化=Culture」に関係しています。
 
ちょっと話は逸れますが、文化=Cultureは、ラテン語のcultura(耕す、栽培する)に由来しており、Cultureは「培養する」という意味もあります。
そして、文化とは世代から世代へ引き継がれていくもの。
と考えると、発酵って微生物が培養されるから、やっぱりCulture。
これも引き継がれ続けていくものなのです!

発酵って何?

さて、話を戻しますと、「発酵」には「広く」「狭く」と、2種類の意味があります。

「広く」は、ざっくり言うと、微生物が人間にとって有益な有機物をつくるのか、有益でないものをつくるのか?
ということです。
有益なものは発酵有益でないものは腐敗と呼ばれています。
(タンパク質やアミノ酸はアンモニアと硫化水素に変化するので、腐っている(匂い)、と思うのですが、物質そのものが人間の身体に有害である、というのが腐敗です。)

 

 

「狭く」の意味合いは、酸素のない状態で微生物が酵素を使って栄養素を分解し、糖類(有機化合物)とエネルギー(アルコール類・有機酸類・二酸化炭素など)をつくり出す代謝活動のことを言います。
酸素がない状態のこの代謝を嫌気的代謝と呼び、無酸素的代謝、またメタンガスが発生するのでメタン発酵とも言います。

 

 

逆に、好気的代謝というものもありまして、空気(酸素)のある状態で活動する微生物の働きで有機物を分解し、エネルギーをつくり出すことを指し、堆肥などがその例に挙がります。

嫌気的代謝で生成される有機物によって(どんな微生物が代謝を行なっているのかによって)、アルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵などに分類されています。
ちなみに、動物は筋細胞などで乳酸発酵を行っているんですよね。

例)コウジカビは米のデンプンを分解して、エネルギーをつくって糖ができる。

 

例)パンの酵母は小麦粉の炭水化物を分解して、エネルギーをつくる時に二酸化炭素を吐き出すので、パンが膨らむ。

微生物の発酵の仕組みって?

人間は食べ物を食べて、酸素と反応させてエネルギーをつくっています。

人間は呼吸が必須です。
そして食べ物を食べることも必須です。
それは酸素を使ってエネルギーをつくるから。
酸素で有機物を酸化させて大量のATP(アデノシン三リン酸)をつくり、エネルギーとしています。

ATPはエネルギーを放出、貯蔵などの役割を持ち、細胞核を持つ生物(動物・植物・菌類・真核生物など)が必ず利用している大切な物質です。

人間などは食事と酸素でがっつり、大量のエネルギーをつくることができますが、微生物は嫌気的代謝で発酵を行っているので、すごくちまちまと少量のATPしかつくれなくて、そして違う物質=カスができるんです。

でもこれがすごく人間にとっていいものだったりする。
それが発酵食品となるのです。

微生物は酸素を使わずに自分が持っている酵素を使って、食べたものを分解してエネルギーにしていきます。(嫌気的代謝)

微生物は酸素がいらない子たちが多くて、だからつくるエネルギーも少ないのですが、それでも世の中に役立つものができているんですよね。

小さいけれども大きな働き。
なんだかとてもうらやましい。

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